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法人化の損得を自分で確かめたくて、比較シミュレーターを作った

フリーランスとしてITエンジニアをしていると、国民健康保険料の通知を見て「これはなかなか重いな……」と思うことがあります。

法人化すれば税金や社会保険料を抑えられる、という話もよく見かけます。一方で、役員報酬、会社負担の社会保険料、法人住民税、設立や維持のコストまで考えると、単純に「売上がいくらなら法人化」とは決めにくいものです。

そこで、自分の条件を入れて個人事業を続けた場合と法人化した場合を比較できる、法人化比較シミュレーターを作りました。

結論からいうと、これは法人化を推奨するツールではありません。法人化を検討するときに、まず自分の前提を数字で見えるようにするためのツールです。

一般論だけでは判断できなかった

私が見たいくつかの税理士の解説動画では、事業の利益が600万〜800万円程度になったら法人化を検討する価値がある、という目安を見かけます。もちろん有用な目安です。

ただ、私が知りたかったのは「一般論としてはどうか」よりも「自分の場合はどうか」でした。

私は、グレーな節税策を前提にしたくありません。iDeCoや小規模企業共済のように、制度として用意されているものはきちんと使ったうえで、それでも法人化に意味があるのかを確認したかったのです。

実際に比較してみると、法人化の有利・不利は、売上や利益だけでは決まりませんでした。少なくとも、次の条件が同じ表に並ばないと判断しづらいです。

  • 個人事業の売上、必要経費、青色申告特別控除
  • 所得税、住民税、個人事業税
  • 国民健康保険、国民年金、家族分の保険料
  • iDeCo、小規模企業共済などの所得控除
  • 法人化後の役員報酬と、本人・会社それぞれの社会保険料
  • 法人税等、法人の追加コスト、消費税

税・社会保険・控除・法人維持費を同じ前提で比較するイメージ

私の試算では、法人化の金銭的メリットは出ませんでした。個人事業税がかからない契約・業務状況であることも、結果に影響した可能性があります。

これは「法人化にメリットがない」という意味ではありません。控除、社会保険、事業税、法人維持費の組み合わせによって、答えが変わるということです。

なお、この記事には私の収入や家族構成、実際の試算額は載せません。以下で触れる数字は、操作説明のために用意した架空のケースです。

比較したい条件を、同じ前提へそろえる

このツールでは、個人事業と、本人だけを役員とする法人を12か月運営した場合を比べます。個人事業側と法人化側で前提がずれると、結果だけを見ても理由が分からなくなるためです。

たとえば、説明用には次のような架空ケースを入力します。

項目説明用の入力例
年間売上1,250万円
年間の必要経費330万円
青色申告特別控除65万円
個人事業税ありとして入力
法人化後の役員報酬月40万円
法人の追加コスト年120万円

ここへ、社会保険料、iDeCo、小規模企業共済、家族に関する条件、消費税の方式などを追加します。

消費税は、個人事業と法人化後で同じとは限りません。そのため、ツールでは両方の方式を別々に選ぶ形にしました。制度の適用可否を売上だけで自動判定するのではなく、利用者が確認した前提で計算する方針です。

GPT-6 Proで仕様を整理し、Codexで実装した

今回の制作では、最初にGPT-6 Proの推論を使って、比較に必要な条件と計算の境界を整理しました。

最初は「売上、経費、役員報酬を入れれば比較できるだろう」と考えていました。しかし、実際に必要な条件を洗い出すと、社会保険料、各種控除、家族分の保険、消費税、法人の追加コストなどが出てきます。曖昧なまま実装すると、もっともらしい数字が出ても、何を比較しているのか分からなくなります。

そこで、税率や控除、保険料のデータと計算処理を分け、計算そのものは画面やネットワークに依存しない形にしました。入力画面を変えても、同じ条件なら同じ結果を再計算できる構成です。

実装はCodexに依頼し、入力の検証、計算モジュール、共有URL、画面表示を少しずつ組み立てました。共有URLは、利用者が明示的に操作したときだけブラウザのフラグメントへ入力条件を保存します。

入力条件を計算処理へ渡し、比較結果を表示する流れのイメージ

ただし、フラグメントは暗号化ではありません。共有URLには入力値が含まれるため、個人の実データを入れたURLを公開コメントやSNSへそのまま貼らないよう注意が必要です。私自身も、記事で実際の試算URLは公開していません。

結果を信じ切らないための設計

税金と社会保険料の話では、ひとつの数字が「正解」に見えやすいです。でも実際には、居住地、契約内容、家族構成、加入している制度、適用時期などで前提が変わります。

そのため、画面上では概算であることと、最終判断は税理士・社会保険労務士などの専門家へ相談することを明記しています。税理士・社会保険労務士の監修を受けたものではありません。全国の自治体別税額を確定するツールでも、制度の利用資格を自動判定するツールでもありません。

また、入力できない条件を勝手に0円として計算しないことも大切にしました。分からない条件があるときは、分からないまま比較結果を断定しない方が安全です。

法人化は「得かどうか」より、比較してから考える

法人化は節税のテクニックではなく、仕事の続け方を変える判断でもあります。

私の場合は、数字を比較したことで「今の条件では、法人化を急ぐ理由はない」と整理できました。反対の結論になる人も、もちろんいるはずです。

法人化を少しでも考えているなら、まずは自分の条件を入れてみてください。一般的な目安を読む前に、または読んだ後に、自分の場合の材料を一つ増やせます。

法人化比較シミュレーターを開く

このシミュレーターの結果は概算です。実際の税額・社会保険料や法人化の有利不利は条件によって異なります。最終的な判断は、税理士・社会保険労務士などの専門家へご相談ください。


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